終活ノート(エンディングノート)よりも遺言書のススメ
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1 終活ノート(エンディングノート)とは?
最近、終活ノート(エンディングノート)という言葉をよく耳にしますよね。
終活ノート(エンディングノート)には、特に明確な定義はないようですが、主に、自分が病気になった後、または死んだ後に備えて、家族に伝えたいことを書き留めておくノートのことです。
また、死ぬまでに自分がやりたいことを計画していくために、終活ノート(エンディングノート)を書かれる方もいらっしゃるようですね。
2 終活ノート(エンディングノート)と遺言書との違い
死後に備えて残しておくものとして、遺言書と混同していらっしゃる方も多いようです。
当事務所でも、遺言書に関するセミナーを開催したときに、参加者の方から「終活ノートと何が違うのですか?」という質問を受けました。
終活ノート(エンディングノート)と遺言書の違いはいろいろありますが、決定的な違いは、「法的拘束力があるかないか」の違いです。
遺言書には法的拘束力がありますが、終活ノート(エンディングノート)には法的拘束力はありません。
3 具体的な例をもとに
次のような記載を例に考えてみましょう。
- 1.自宅不動産は長男に相続させる。
- 2.○○銀行の△△支店の預金は二男に相続させる。
- 3.◎◎銀行の▽▽支店の預金は、お世話になった上大岡夢子さんに遺贈する。
(1) 遺言書に記載があった場合
亡くなった方が遺言書を残していて、その中にこの記載があった場合、長男は、二男の同意がなくても、自宅不動産の名義を自分名義に移転することができます。
また、二男は、長男の同意がなくても、○○銀行の△△支店の預金の全額を払い戻すことができます。
上大岡夢子さんも、長男・二男の同意がなくても、◎◎銀行の▽▽支店の預金を受け取ることができます。
※ただし、どんな遺言書でもOKというわけではなく、法定の要件を満たした有効な遺言書でなければなりません。詳細は当事務所の遺言書のページをご覧ください。
(2) 終活ノート(エンディングノート)にこのような記載はあるものの、遺言書がなかった場合
長男が終活ノートを法務局に持参しても、法務局は、相続人全員の同意がない限りは、長男1人の名義への移転登記をしてくれません。
また、○○銀行も、相続人全員の同意がなければ、二男1人に対して預金の全額を払い戻すことは了承しません。それぞれ、手続のための書類を作成し、実印で押印し、印鑑登録証明書を添付しなければなりません。
相続人全員の同意が得られなければ、家庭裁判所で遺産分割調停を行う必要が出てくるでしょう。
仮に、調停を行っても、最後まで相続人全員の同意が得られなければ、相続財産は、法定相続人のみが法定相続割合に従って分け合うことになります。不動産も誰か1人の単独名義にすることができず、共有になってしまうこともあり得ます。
上大岡夢子さんは、いくら「終活ノートにこう書いてある!それが故人の意思だ!」と述べたところで、遺産は一円ももらえません。
4 終活ノート(エンディングノート)よりも遺言書のススメ
このように、終活ノート(エンディングノート)には法的拘束力がないので、遺産の分け方を指定し、確実にそのとおりに相続させたい場合は、遺言書を正しく書かなければなりません。
いくら終活ノート(エンディングノート)に書いてあったところで、法務局からも金融機関からも、一切、相手にしてもらえません。相続人は、終活ノート(エンディングノート)の内容を完全に無視して遺産を分けることもできてしまうのです。
終活ノート(エンディングノート)は、自分の頭を整理して計画を立てるという意味では有益だと思います。遺言書を書くための準備として活用するのもいいのではないでしょうか。
遺言書について1点だけ注意があります。それは、法定の要件を満たしていないと無効になってしまうということです。
遺言書を作成するにあたっては、無効とならないよう、弁護士にご相談なさることをおすすめします。詳細はこちらをご覧ください。
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