遺留分トラブルの弁護士相談

遺留分とは

 遺留分とは,一定の相続人が,法律上、最低限相続することができる割合のことです。

 被相続人(亡くなった方)は、生前に贈与したり、遺言を残すことによって、原則として自由にその財産を承継させることができますが、遺留分の限度でこれに制限が加わっているということです。

IMG_47870004

 例えば、父が死亡、相続人が長男と次男という場合に、父が全部長男に相続させるとの遺言をしていても、次男には遺留分があるので、全部長男が相続できるとは限らないのです。

 しかしながら、遺留分が認められている相続人も、放っておいても当然にもらえるということではありません。

 先の例で次男は遺留分を請求しなければ、遺言のとおり、長男が全部相続することになってしまいます。

遺留分侵害額の請求

 遺留分を侵害された相続人(先の例では次男)のことを遺留分権利者といいます。

 遺留分権利者が、贈与または遺贈を受けた者(先の例では長男)に対して、侵害された財産額に相当する金銭の支払いを請求することを「遺留分侵害額の請求」といいます。

 遺留分が認められる相続人は、被相続人の配偶者、子、直系尊属(父母、祖父母など)です。兄弟姉妹には遺留分がありません。

 全体の遺留分割合に法定相続分を乗じることにより、各相続人の遺留分割合が決まります。

 遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)の詳細は、こちらをご覧ください。

全体の遺留分割合は

  • ・直系尊属のみが相続人である場合 3分の1
  • ・それ以外の場合 2分の1

です。したがって、例えば、

相続人が配偶者と子の場合

 配偶者の遺留分:4分の1(2分の1(全体の遺留分)✕2分の1(法定相続分))

 子の遺留分:4分の1(2分の1✕2分の1)
 (子が2人なら:2分の1✕4分の1=8分の1で、子はそれぞれ8分の1が遺留分になる)

法定相続人が配偶者と親の場合

 配偶者の遺留分:3分の1(2分の1✕3分の2)

 親の遺留分:6分の1(2分の1✕3分の1)
 (親が父母の二人なら、2分の1✕6分の1=12分の1で、父母はそれぞれ12分の1が遺留分になる) 

遺留分侵害額請求の裁判

 遺留分侵害額の請求をしても、当事者間で話合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。

 なお,遺留分侵害額の請求は、
(1)以下の(ア)及び(イ)の両事実を知ったときから1年
 (ア)相続開始(被相続人の死亡及び自分が相続人となったこと)
 (イ)自分の遺留分を侵害する生前贈与や遺贈があったこと
又は
(2)相続開始のときから10年
を経過したときは,時効にかかり、相手方から時効を援用されてしまうと請求することができなくなりますので注意が必要です(民法1048条)。 

遺留分侵害額請求でよくあるトラブル

(1)遺留分侵害額請求の時効

 遺留分侵害額請求を行う上で、最も注意が必要なことは、上述したとおり、遺留分侵害額請求には相続開始及び減殺すべき生前贈与または遺贈のあったことを知ったときから1年という時効があることです。

 遺言書があっても、相続人全員で話し合って遺言とは異なる遺産分割を行うことが可能です。このため、まずは話し合いで解決しようと考え、遺産分割協議を行っているうちに、うっかり遺留分侵害額請求の時効を徒過してしまうことがありえます。

 このため、遺留分侵害請求をしたいときは、遺産分割協議を行う場合であっても、同時に、内容証明郵便などにより、遺留侵害額請求行使の意思表示を通知しておくことが望ましいといえます。

(2)侵害額が分からない

 遺言により、自己の遺留分が侵害されている場合であっても、遺産の総額が分からないと、具体的に自己の遺留分がいくら侵害されているのかが分かりません。

 このため、遺留分侵害額請求は、遺産総額の調査から始めることが一般的です。

 遺言により多くの財産を取得した相続人・受遺者や、被相続人の生前に財産を管理していた相続人、遺言執行者(遺言執行者が付いている場合に限る)などが遺産総額を知りうるキーパーソンとなりますので、これらの者に対して遺産目録の開示などを求めることになります。

(3)遺留分侵害額請求権行使の相手方

 遺留分侵害額請求は、自分の遺留分を侵害している相続人や、遺贈・生前贈与の受遺者に対して行います。これは、遺言執行者が就任している場合であっても同じです。

遺留分の弁護士相談

 遺留分の割合は計算できるとしても、実際にはどうなるのかというのは、複雑な問題の処理と計算を要する場合があります。

  • ・遺言書が出てきたが、自分の相続分がない
  • ・遺言書に書かれている自分の相続分が、遺留分に足りているかわからない
  • ・遺留分としていくら他の相続人に支払えば良いか分からない

このような遺言書と遺留分に関するトラブルがあれば弁護士にご相談ください。

横浜の弁護士事務所、上大岡法律事務所なら、遺留分の相談実績が豊富です。遺留分のご相談、弁護士費用等、お気軽にお問い合わせください。


ご相談はお気軽に 045-840-2444
顧問契約のご案内 中小企業のニーズに応える様々な提案をいたします
当事務所の最新トピックス・解決事例は、下記をご覧下さい。
主な取り扱い分野