再生・倒産
企業経営者の方々は、どのように会社を運営し、業績を上げていくかという点については、日々の経営の中で積み重ねたご経験から、とても精通されておられます。
しかしながら、会社が経営危機に陥ったときの対処方法について、正しい知識をお持ちの経営者は少ないのが実情です。また、そもそも知識はお持ちでも、実際に会社の危機に直面した場合においては、冷静な判断が期待できないことが残念ながら多いといわざるを得ません。
売上を上げるご経験が豊富な経営者であればあるほど、経営危機に陥った場合において、さらに借入れをして、売上を上げることで危機を脱しようとする傾向があるように見受けられます。しかし、それが後になって命取りになってしまうケースもあります。
資金繰りに窮し、経営危機に陥った場合には、専門家に相談することで、次のような選択肢が得られます。
1)リスケジューリングによる自主再建
会社の経営再建という局面においては「最優先するべきは金融機関への返済」という考えにこだわることが必ずしも正しくないこともあります。然るべき交渉を行うことで、金融機関が返済を猶予してくれることもあります。
2)事業・人員の整理・事業再編
場合によっては、勇気を持って不採算事業から撤退し、それに伴ってリストラ(人員削減)、会社分割や事業譲渡などにより、会社をスリム化することも必要です。不採算事業から撤退したことで余裕ができた経営資源を他の採算性の高い事情に集約させることで、結果的に全体の売上が向上することも期待できます。
3)民事再生法の活用
2000年に施行された民事再生法は、民事再生手続開始を裁判所に申請した時点で、いわゆる「倒産」として扱われますので、これを避けたがる経営者が多いのですが、民事再生手続は、あくまでも再建型の法的手続であり、同じ「倒産」という言葉で表現されるといっても、会社を清算させる方向の「破産」とは異なります。倒産企業の経営者が引き続き経営にあたることができるなど、多くのメリットがある会社再建の方法です。
4)自己破産(法人破産)
あらゆる選択肢を検討し、それでも再建が不可能と判断された場合は、自己破産を選択し、会社を清算することになります。苦渋の決断となりますが、ご自身やご家族のためにも、責任を持って破産手続を進めることが必要な場合もあります。
経営危機が深刻化する前の早い段階でご相談いただけていれば、再建のための法的手続を選択することができたと思われるケースも多いです。厳しい経営状況を赤の他人に相談することに気が進まないお気持ちは良く分かりますが、本当に取り返しがつかない状況に陥る前に、できるだけ早い段階でご相談ください。
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