(不動産)店舗の家賃滞納で建物明渡訴訟を提起し和解により解決した事例
当事務所に相談した経緯
依頼者は、東京都にある不動産の賃貸経営者。
店舗を長年貸していたが、借主の経営が上手くいかないのか、月によって賃料が払われたり払われなかったり、払われても不足していたりと、計算すると数か月分の家賃を滞納されていた(未払金約200万円)。
「滞納賃料を支払って欲しい、このまま滞納が続くようであれば退去して欲しい」とのことで当事務所へ依頼。
弁護士の対応
弁護士が不動産書類や実際に東京都内にある物件の調査を行い、現在の状況を確認し事実関係を整理した。
1 内容証明郵便の送付
まず、借主に対して、当事務所の弁護士が滞納家賃を支払うよう請求する内容証明郵便を作成して、送付した。
すると、借主から「経費を削減するなど経営努力をして、滞納分を支払うので待って欲しい」との連絡があった。
しかし、具体的にどのような方法で、いつまでに滞納を解消するのか確認しても、明確な回答は得られなかった。
そこで、直ちに明け渡しに向けて準備すべきと判断し、依頼者に報告、助言した。
2 賃貸借契約の解除と訴訟提起
借主に対して、内容証明郵便を送付して、賃貸借契約を解除し、建物を明け渡すよう請求した。
また、借主を被告として、建物の明渡し・滞納賃料の支払・解除後の使用料相当損害金の支払を請求する訴訟を提起した。訴訟では、借主にも弁護士が代理人として就いた。
3 和解を助言
訴訟提起後、借主から、「どうしてもこの店舗で経営を続けたい、滞納分は分割で支払うので、和解をしたい」との申し出があった。滞納分の半額を一括で、残りの半額は長期(2年超)の分割払いというものであった。これまでの借主の対応からして約束通り支払うとは思えないので、判決を得るべきと思われた。
しかし、判決を得て明渡しを実現することはできても、資力のない借主から滞納家賃を回収するのは困難であると考えた。
そこで、半額でも滞納家賃を直ちに回収して確保し、その後に分割支払いが滞ったときに明渡しを実現する方が得策であろうと判断し、借主の提案を容れて和解を成立させた。
滞納分の半額は和解と同時に裁判所で受領し、また、1回でも滞納分の分割払いや家賃の支払を遅滞したときは、当然に解除となり、借主は建物を直ちに明け渡すとの条項を入れ、支払の担保と不払のときの明渡しが実現できるようにした。
他方、依頼者から要望があり、借主が店舗の外に無断で大量の荷物を置いているので撤去してもらいたいとのことであった。
そこで、借主が期限内に荷物を撤去することも和解条項に盛り込むこととし、依頼者と借主の間の紛争を長引かせることなく一回的に解決した。
ポイント・所感
依頼者が、深刻な状況になる前に早めに弁護士に相談したこと、法的手続外での交渉を長々と行わず、早期に訴訟提起という法的手続をいったんとったことが、早期解決につながったと考えられる。
また、一度は訴訟を提起したものの、借主が事業を続ける意向を持っていたこと、当事者双方が「紛争を長引かせたくない」「和解したい」という意思を持っていたことから、弁護士の助言により、依頼者が納得でき、借主も事業ができるような和解ができた。
家賃を払い続けてもらえるかわからない状態で「和解したい」と考えたときは、弁護士に相談して和解条項を作成し、滞納があったときの対応を相手にも納得してもらうことが大事である。
不動産の家賃滞納に関しては、家賃滞納の弁護士相談をご覧ください。
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