(労働問題)審査請求により労災の休業補償給付の支給額引き上げに成功した事例

ご相談の内容

 労災事故に遭われて休職中の方からのご相談。

 労災の手続は会社の社労士が行っており、労災保険の休業補償給付は既に支給が始まっていた。

弁護士の対応

 依頼者の勤務実態を確認すると、毎月、かなりの残業をすることが常態化していたにもかかわらず、会社から残業代が支払われていなかった。

 労災からの休業補償給付の給付額も、残業代がない状態での月給を基準に計算されていた。

 そこで、弁護士が直ちに審査請求を行い、タイムカード及び残業代の計算書を提出し、残業代が未払いであること、休業補償給付額は未払いの残業代を考慮した金額で計算されるべきであることを主張した。

結果

 労働局の審査の結果、残業の実態があることと残業代が未払いであったことが認められ、給付基礎日額が約2倍に引き上げられた。

 これによって、依頼者に支給される休業補償給付額も約2倍となった。

弁護士の所感

 労働者が残業した場合、その対価(残業代)が支払われなければならないことは言うまでもありません。

 そして、労働者が勤務中の事故(労災事故)により怪我をしてその治療等のために会社を休まざるを得なくなった場合に国から支給されるのが労災保険の休業補償給付です。

 休業補償給付は、事故により給料をもらえなくなったことの補償として支払われるものですから、事故前の給料額を基準として計算されます。

 事故前に残業をすることが常態化していて、毎月、一定程度の残業代が発生していた場合は、労災からの給付額の計算の際にも残業代が考慮されます。仮に会社が残業代を払っていなかったとしても、会社の違法な対応によって労働者が損をするのは不当です。

 そこで、労災からの支給額が決定された後でも、審査請求(労働局に対する不服の申立て)を行い、残業代が未払いであったことを主張・立証することができれば、支給額が引き上げられることがあります。

 本件でも、タイムカードにより残業の実態を証明することができたので、未払いの残業代が考慮され、労災からの支給額が引き上げられました。

 審査請求には期間制限があるので(決定から3か月以内)、会社の社労士に任せっぱなしすると、休業補償給付の支給額が低いままのこともあります。

 会社の社労士に任せっぱなしににせず、早めに弁護士にご相談することをお勧めします。

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