相続法の改正
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相続法がどうして改正されたのか
民法の相続に関する規定(相続法)が、昭和55年以来約40年ぶりに大幅に改正されます。
今回相続法が改正されることになった直接のきっかけは、平成25年9月、嫡出でない子(結婚していない男女の間に生まれた子)の相続分を嫡出である子(結婚している男女の間に生まれた子)の相続分の2分の1と定めていた民法の規定が憲法違反であると、最高裁が判断したことにあります。
これを契機に、他の相続法の規定についても見直しの必要があるのではないかとの問題が提起され、今回の大改正が行われることになりました。
要するに、時代の移り変わりにより、現在の国民のライフスタイルや、家族や相続に関する考え方と民法の規定が合わなくなってきたことが改正の理由です。
どこが変わるのか
今回の相続法改正の骨子は次のとおりです。
1 配偶者の居住権を保護するための制度の新設
配偶者が、居住していた建物に、その建物の所有権がなくても、引き続き住み続けることができるように、配偶者の居住権が認められました。
2 遺産分割等に関する見直し
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- ・配偶者保護(持ち戻し免除の意思表示の推定)
結婚期間が20年以上の夫婦間で、自宅の土地建物が贈与・遺贈されたときは、持ち戻し免除(その不動産を相続財産からはずす)の意思表示があったものとして、遺産分割ができるようになりました。
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- ・仮払い制度の新設
遺産である預貯金について、生活費や葬儀費用等の支払のために、遺産分割前にも払い戻しができるようになりました。
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- ・遺産分割前に遺産を処分した場合の遺産の範囲
相続人の一人が遺産分割前に遺産である財産を処分した場合に、その処分した財産も遺産として扱い、計算上生じる不公平を是正する制度が設けられました。
3 遺言制度等に関する見直し
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- ・自筆証書遺言の方式の緩和
財産目録は自筆で作成しなくても良くなりました。
- ・遺言執行者の権限の明確化
- ・法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設(遺言書保管法)
4 遺留分制度等に関する見直し
最低限の取り分である遺留分は、お金で請求することができるようになりました(遺留分減殺請求権を行使すると、遺留分侵害額に相当する金銭債権が生じるものとされました。遺留分制度については「遺留分減殺請求とは」を参照)。
5 相続の効力等に関する見直し
相続人が相続させる旨の遺言等により、法定相続分を超える権利を取得したときは、登記等の対抗要件を備えなければ第3者に対抗することができなくなりました。
6 相続人以外の者の貢献を考慮するための制度の新設
相続人以外の親族が、被相続人の介護等を行った場合に、相続人に対してお金を請求することができる制度が新設されました。
次回のコラムでは、「配偶者の居住権を保護するための制度」について取り上げます。
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